嗚呼トセ部隊

05.嗚呼トセ部隊
         在りし日の戦友を詩う…十加砲兵戦陣譜          

               あゝ トセ部隊

戦争の渦に捲かれりゃ          生きちゃ踏めない 故国の土

あきらめきれない              虚ろな声が 気にかかる

あれが滋河市か金沙舗か       朧月夜の 歩哨線

風も啼くよな 太山廟           あゝ… 沙荊地にゃ春がない

忍び寄る敵兵を迎撃えりゃ       大気にかすむ  沮水河

そぼ降る氷雨               白い吐息が 頼もしい

小雪ちらつく文峰塔           明けの分哨 河溶鎮

添い寝の銃も凍りそう          あゝ… 荊襄の掃討戦                                                                                       

岳州の 空を震わせ           十加を狙う敵機がきた

唸る爆音                  輸送船が危ない洞庭湖

真夏の死闘                 岳麓山

堅い砦の                  衡陽城

飢えも渇きも                なんのその

あゝ…                    桂林の砲撃戦      
                                           

戦争の                   傷に哭くなよ

転進だから                 気負い立つ

目指せ上海                 修羅場をくぐる 二千粁

襲う敵機が                 憎らしや

明日の旅路を                祈ろうよ

見よ! 十加                我らこそ

あゝ…                    栄光のトセ部隊          

      元戦友 久保田朝久氏の訃報に遥なる壮丁時代を懐旧する

                      一九九二・七・三   保科 博

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