追討戦と初年兵

06.追討戦と初年兵
 ・・・故国を遠く離れた・・・沙荊地区の太山廟の丘陵地帯を哨戒警備していた私達初年兵にとって・・・其処は、豫ねてからの思惑を超える苛酷な服務内容の世界で、奥歯を噛みしめて「辛苦」に耐えなければならなかった・・・。・・・只ひたすらに、・・・あやなす運命に流される己れを肯定しつつも、月日が経過するに従い・・・、自虐的な思索に沈溺していく気持ちを・・・所詮、打破し切れぬものと知れば知る程、心身の疲労は増し、悲痛感が滾々とこみ上がってくるのである。人に隠れて悔し涙を拭う忍従の日々は・・・いつ終わるのか私達には予測も出来ない状況であった・・・。・・・私は軽機関銃の射手として・・・「常徳殲滅作戦」の大渦に巻き込まれて・・・、追討戦に駆り出された・・・。然し、二度も三度も・・・危うく憤死寸前の危機を乗り越えて・・・幸いにも生き延びたのである。・・・その作戦も12月末頃には戦況が治まって・・・久しぶりに緊迫感から開放された。私達にも、安堵の表情が戻った・・・。正月用に貴重な日本酒が支給されると、相好を緩めながら風呂を沸かし・・・身体を暖めると、望郷の念が勃前と浮かんで・・・それぞれの家族の話題に花が咲いたが・・・、ほんの一ヶ月前に戦死した戦友を偲ぶ話になると・・・私達は・・・その不運を嘆いて・・・暗い雰囲気になった・・・。

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