命賜わりて(序文)

11.命賜わりて(序文)
                              荒張千五百

…人生とは永いようでも、振り返ってみると短い…その短い人生での…いろいろな出来事には、いつも人情がしっとり絡みついている。ことに…、私が、その昔に体験した軍隊生活では、とても…ひと口では云い表せないほど耐え忍ぶ事柄ばかりで、あの強烈な印象は…今もってこの神経細胞に突き刺さっている…。…只今の私は爛熟した暖衣飽食の冷酷軽薄な乱世と変わり果てたこの現代に生きてはいるが、我が心身を形成した少年期や青年時代の思想に強固な基盤を培った…数々の歩みの記録の中から、今回は敢えて…この「命賜わりて」に集約し、我が「苦闘時代」とも銘打つ、覚え書きとして…どうしても…後世に残しておきたい衝動に駆られたのである…。このことは…数年前から何度も試みてきたのだが、その都度筆 詰まりし、立ち消えになった。 失敗を繰り返した挫折の…屈辱感はしこりになった儘であった…。 (中略)…平成元年…。私も73歳を迎え、年毎に…この身体は弱ってきているが、余命は天に任せ…遠い過去の節々を追慕しながら、現代の世相と照らし合わせ、近頃の腐敗しきつた紊乱風俗の真っ直中で溺れる青少年諸君達に、これを契機として「喝」え、もし彼らが粛正されるならば…次の世代に明るい希望を抱いてもいいのではないかと一抹の期待を膨らませるのである…。 (後略)

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